「生産性」を読んだ

伊賀泰代さんの著書「生産性」を読んだ。 「採用基準」に引き続き、身になる内容が散りばめられていた。


発売日: 2016/11/25
出版社: ダイヤモンド社
言語: 日本語
ASIN: B01N2JDNBI

生産性とは何か?

  • 生産性とはコストを下げることではない。インプットとアウトプットの比率である。
  • 変化の具合に応じて「インプルーブメント」と「イノベーション」に分けられる。
  • 日本はコスト削減に集中しすぎだ。

イノベーションとは何か

本書では「技術的イノベーション」「非技術的イノベーション」の2つについて言及されている。定義は提唱者によって様々だが、生産性を大きく向上させうる事柄、と考えれば確かに技術的かそうでないかに分類することができる。クリステンセンは、「革新的」「持続的」という表現をしている。また、技術的に優れていても市場に受け入れられないことも往々にしてあるため「市場創生」の部分に強くフォーカスする場合もある。

イノベーションを起こそう。エイエイオー!」ではイノベーションが生まれるはずもなく、行動までブレイクダウンして考えよ、と著者は綴っている。

なぜ生産性を向上させる必要があるのか?

米国との差が「リーダーシップ」「生産性」にあるから。

我が振り直すことに関心を向けてみると、ある製品の価格を上げることに集中してしまいがちだが、実はそれは生産性を上げることの方が本質であると気づく。つまり、アウトプットを大きくすることばかりに目を向けていたが、実はインプットを小さくすることでも目的は達成される。なぜなら、小さなインプットによって、別の製品にもリソースを割くことができるようになり、結果として自分の成果のアウトプットは大きくなるからだ。

生産性を向上させるために何をすべきか?

「徹夜して良い資料を作ったことを褒めるのではなく、次は徹夜せずに良い資料を作れるようにアドバイスする」など、生産性を上げるためのノウハウ、アドバイスについて言及があった。

セルフスクリーニング

あらかじめ企業のマイナスな点も含めて告知する。就職活動をする学生と採用担当者のミスマッチを防ぐことができる。採用にかけるコストを減らすことができる。

ブランク資料

資料の具体的な内容を作る前にアウトプットのイメージを作る。そうすることで、重要ではないが興味深い情報に食いつくことなく作業進められる。ブランク資料に入っていないが、重要な情報を入手した場合は、ブランク資料そのものを練り直す。

会議テクニック

  • 資料は会議で説明しない
  • 達成目標を明確にする
  • ポジションをとる練習をする
  • 意思決定のロジックを明確にする

また、会議で決めるべきことが決まらない要因の一つに、意思決定のロジックがある。ロジックがあっても情報が足りないから決断を先送りにすることは避けるべきで、情報が足りないのであればロジックについてのみ合意して、情報が揃い次第、次の行動に移ると良い。

「不確定な状況において決断する」ことを日頃から練習すると良い。 会議のみならず、テレビ、ニュースなどで、全ての判断材料が揃っていない段階での意思決定を練習することで、ビジネスの世界でも決断のスピード、質が上がる。その場で意思決定をしない習慣を打破することができる。


個人的見解による評価。

評価

  • 生活への寄与度:★★★
  • 可読性:★★★
  • 印象に残る度:★★
  • 面白味:★

自分の生産性を考える度に、思い出す著書だろう。生活においていくつか気をつけたいポイントがあった。再現性も高そうだ。平易に書かれたビジネス書であるからか、ワクワクするような面白味はなかったが、読みやすい本である。

ビジネスだけでなく、学校教育でも生産性を高める必要性が増すと思うが、学校教育の成果を上げることは評価手法的にも難しいものがあると容易に想像がつく。しかし、そもそもかける労力を少なくすることで生産性は向上したことになる。大それた教育の効果ばかりを追い求めるのではなく、より簡単に物事を進めるだけでいいんだ、と考えるといいのではないか。